Monday, January 10, 2011

読書三昧

一人きりの時間ができてうれしいのは、思いっきり本が読める事。1週間で3冊を読み終えた。


Jeannette Walls の「 Half Broke Horses」 は、11月に帰国した際に、日本行きの飛行機の中で読もうと思ってニューヨークのJFK空港で買っていたのをやっと読み終えた。実際にあった話を元に、孫がおばあちゃんにあたる主人公の語り部となって書いた一冊。ページ数を増やすためだけに書いているのかと思うようなやたら長い描写が苦手なので、テンポ良く進むこの小説は私好み。馬に乗って牧場を駆け回る子供時代、先生として僻地の子供達に教える生活、シカゴという大都会で暮らした時の最初の結婚相手は重婚だった事、やがてまた最高の伴侶に出会い大好きな牧場経営の仕事に戻る生活。その間にも車や飛行機の操縦免許を取ったりと、さまざまな出来事が次々に起こって涙あり笑いありのお奨めの本。


「大嘘だらけの食料自給率」とサブタイトルの付いた浅川芳裕という人の本。月刊「農業経営者」の副編集長とある。この本を手に取るまで、日本が世界弟5位の農業国なんて思いもしませんでした。農業に従事している人の多くは高齢者で跡取りもどんどんいなくなり、しぼんで行くばかりと何となく思って(思わされて?)いました。多分、同じように感じている人は多い筈。では、どうして皆がそう思っているのか、その理由を解き明かしたのがこの本。

いわく、「メディアと一緒になって、窮乏する農家、飢える国民のイメージを演出し続ければならないほど、農水省の果たすべき仕事がなくなっているから」。将来食料が無くなっては大変!と国民が自分達を必要としてくれる限り莫大な予算がもらえ、官僚の天下り先を確保し続ける事もできる。だから無駄な仕事を作り上げ、他国から笑われるような特異な政策とも言えぬ政策を打ち出す。そのような内容を数字を引き合いに出して細かく検証している。数字や統計ははあまりすっと頭に入ってこないけれど、文章だけでなるほどと納得させられる。確かに経済大国、技術大国の日本だから農業分野においてもいろいろと革新がなされ、ちゃんと消費者のニーズに答えた農産物を提供している。どこのスーパーにも日本産の新鮮な野菜や果物はたんと並んでいる。そう言えば私の田舎の若い農業従事者もとてもやる気があって見ていて頼もしいものがあると思ったのも確か。読んで良かった一冊。



さて、一番早く読みたかったにも関わらず、今回最後に読んだ本。それは大好きな藤沢周平の「又蔵の火」。それぞれの主人公が暗さを背負った短編5話が収められている。根底に弱者にやさしい眼差しがあり、つい主人公を応援してしまう。特別時代小説が好きだという訳じゃなかったのに、最初に「蝉しぐれ」を読んでから急速に藤沢作品にのめり込んだ。私はこの人ほど心に染入る美しい文章を書く作家を他に知らない。彼の作品を読んでいて、日本語が母国語で良かったと思わされる事しばしば。いろいろと読むにつれその視点の幅広さに驚かされ通し。ニューヨークに住んでいた時には、彼の本を求めて中古本販売のBook Offに良く通った。

そんな彼の本を成田空港の本屋さんでいくつか買ってきました。じゃじゃーん。楽しみはまだ続く!




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