Saturday, October 8, 2011

隣のおばちゃん

船を陸に揚げたその日から2週間の予定でアパートを借りた。場所
はピークヨットサービスと隣接しているパワーボートのヤード内。シング
ルベッドが2台にバスとトイレ付き。魅力的なのは自炊ができる
キッチンがある事。でも、もっと重要なのはエアコンが付いている事。

そのエアコンが程良く効いた部屋でぐっすり眠った翌朝4時、尿意
を催してお手洗いに立った。ボブも同じように私の後からトイレへ。その
時軽くドアをノックする音。ギョッとした。こんな時間に誰?ボブに話し
たら空耳だろうと言う。いや、確かにドアをノックした、と言っている所
にまたコンコン。お互いに顔を見合わす。変な人かも知れないから絶対に
ドアを開けないでと念を押した後に、ボブがドアに近づき、「どなたです
か」と尋ねても返事が無い。いよいよ不気味。ボブが強い調子でもう一度
尋ねると、「隣の部屋の者だけど、あなた達がうるさ過ぎて眠れないから
静かにして頂戴」とのたまう。朝の4時に苦情を言いにくるそっち
の方がよっぽどおかしいわと思ったが、分かりました。すみませんと謝っ
た。

それで終わりかと思ったら、次の朝、ダブルスを買いに2階の部屋
を出て階段を下りかけた私の頭上に、角部屋からそのおばさんの罵詈雑言
が降ってきた。そこまで言うかとカチッときた私は部屋に取って返し、
コーヒーを作っているボブも連れてきて、そのおかしなおばさんの言い分
を聞いた。いわく、「私は昨日イギリスから飛行機で飛んできて寝不足な
上に風邪を引いて体調が悪いのよ。このアパートの壁がどれぐらい薄いの
か知らないの?あなた達がうるさくするから殆ど眠れなかったじゃない
の」だって。それは時差でしょ!私達は疲れていて8時半には寝ま
した。ちょっと騒いだのは、早く冷やそうとおもって冷凍庫に入れたワイ
ンが凍ってしまって慌てたり笑ったりしたからです。それぐらいいいでは
ないか、全く!

ドアを開け放した入り口のキッチンでは、旦那さんらしきおじちゃんが、
私たちと目を合わさないように静かーに、これまたコーヒーを淹れてい
た。きっと自分の奥さんにウンザリしているんだろうなとちょっと同情し
た。

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